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Old Saltの日々雑感

日々雑感的に思うところを小さなウソと大きな誇張でデフォルメして掲載中!

じごくのそうべい  




じごくのそうべい


桂米朝さんが亡くなった。89歳だった。洒脱な落語家だった。

約半世紀前、毎週水曜日の夜中に、ラジオ大阪で「題名のない番組」という30分番組があった。それは、落語家の桂米朝とSF作家の小松左京、ラジオ大阪のアナウンサーの菊池美智子の3人の、題名のつけようのない行き当たりばったりのトーク番組だった。
三人のトークと投稿者のコメントを読むという、今のラジオのパーソナリティ番組と同じスタイルなのだが、当時としてはかなりユニークで、猛烈に面白かっただけでなく、今なら放送局が自己規制して絶対に放送しないような政府批判や社会風刺投稿も、笑いの調味料で誤魔化し放送するという、カルチェラタン的な番組だった。
ここでいうカルチェラタンとはパリの5区(だったか?)の学生街のことで、サルトルやニーチェが健在で、哲学や思想がまだ生きていた時代のパリで学生たちが様々な活動をしていたことに刺激され、解放区的な意味合いでカルチェ・ラタンを使った。
どのような番組だっかをイメージしてもらうために一例を紹介しておこう。

ブルー・サトー 〔替え歌:ブルーシャトー〕

無理と歪みに囲まれた 政治屋動かす
ブルー ブルー ブルー サトー
賄賂の来るのを待っている 代議士かかえた
ブルー ブルー ブルー サトー
きっと、あなたは アホな議員の弁解するのが苦しくて
涙をそっと流すでしょう
黒い霧のガウンにつつまれて必死にごまかす
ブルー ブルー ブルー サトー


〔あの子はたあれ〕

あの子はだあれ 誰でしょね
羽田のデモの最中に
カアちゃん連れて外国へ
隣りの栄ちゃんじゃ ないでしょか

※「栄ちゃん」は佐藤栄作。全国ヒットした「栄ちゃんのバラード」は僕たちの作詞作曲。


平バストの平胸か
小松左京のモークモク
奥目やつれてトッキッキ

※これは、ミッチー(菊地美智子)の平らなバスト、チェーンスモーカーだった小松左京(太っていたでモクブタとも呼ばれていた)、奥目は米朝のこと。
こんな投稿もガハハと笑い飛ばしながら採用していた。


〔伊勢物語・第106段 龍田川〕

ちはやぶる
神代もきかず
物価高
豊作なれども
米上がるとは


「東大がダメになったか。君、京大を受けてみないか?」
「いや、京大(兄弟)は、他人の始まりですから」
「じゃ、東北大学は?」
「いや、東北は、鬼門にあたりますから」
「それじゃ、青森大学は?」
「ダメです。ニュートン以来、りんごは、必ず落ちると決っていますから」
「じゃ、長野大学は?」
「いや、うちは信州(真宗)でなく、禅宗ですから」
「それじゃ、一体、どこを受けるつもりだ?」
「先生、長崎大学です」
「長崎? どうして、そんな遠いところへ?」
「江戸の仇を長崎で」


この程度の例ではイメージは伝わらないと思うが、後年(約10年後)小松左京自身が、日本沈没を書くヒントを得たであろう番組だと僕は思っている。同様に米朝もまた、この番組によって芸が磨けたと僕は思っている。そしてもう一人、僕もまた彼らの放送から沢山の刺激を受け多くの“何か”を得た、と思っている。僕や友人たちが、反戦活動や文化活動、路上ライブや対話集会などなどを臆することなくできたのも「題なし」が財産になっていたからだと思っているからだ。

ちょうどこの番組が放送されていた頃に、心斎橋の渡辺橋の上で路上で創作落語をやっていたのが米朝の直弟子の桂小米(後の桂枝雀)で、そのハチャメチャぶりがいかにも関西文化という面白さがあった。
ずーと後年。名古屋の専門学校の顧問をしていた僕は英語専門学校の学園祭に枝雀を招聘したことがある。彼に英語落語をやってもらたのだが、これが外人講師たちにバカ受けしたこと、その時に「赤い同盟を覚えてます?」と話しかけ「えっ知ってはんの?」「渡辺橋の時代からのファンです」と、実際に創作落語の「赤い同盟」を2分ほど演じてみせたら感激され昔話に花が咲いたことなどが懐かしい思い出として残っている。

ある日の題名のない番組のテープ興し版。


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